原文や一次資料に触れることの重要性
書籍やインターネット上の記事を読むときに、とても大事なのが原文を参照する、一次資料に触れる、ということです。
書籍やネット上の記事には本人が言ったことや考えたことが直接書かれている場合もあれば、「誰かがこういった」、「この本にはこう書いてあった」、「歴史上はこうであった」、というようにいわゆる伝聞の形や誰かがまとめたことを裏もとらずに自分が見てきたことのように記述している場合があります。
前者の場合であれば特に気にする必要はないのですが、注意しなければいけないのは後者の場合です。伝言ゲームをしたことがある人は多いと思いますが、最初に言ったことが何人か経ると全く違う内容に変わっていることが少なくありません。
このようなことが書籍やネット上での記事でもよく起こります。伝聞であることが明確に記述されていれば気を付けることができるのですが、そういう場合は非常に少ないのが困ったところです。
最初に言った人の内容が一番正しいことだということはお分かりいただけると思います。これが一次情報になります。それ以降、人を経て伝わった情報はすべて二次情報ということになります。本人が言った一次情報が一番正確で、以降人を経るごとにだんだんその正確性が失われていくことになります。
一次情報に触れることがいかに重要かがわかるかと思います。
二次情報であることを認識せずに正しいものだと信じ込んでしまった場合、真実とは全く違うことを事実として吸収してしまう可能性が高くなってしまいます。
原文がゆがめられて伝わった例
一次情報が人を介して歪んでいく例を見てみることにしましょう。2013年頃に話題となった元陸上選手の為末大さんのTwitterでの発言です。炎上騒ぎとなったので記憶に残っている人も多いと思います。
その時に炎上となった理由は、為末さんが次のようにツイートしたことが原因とされています。
「才能無い奴はいくら努力しても成功しない」
では、実際に為末さんはどのようにツイートしたのか本人のツイートを見てみたいと思います。
以下引用。
『成功者が語る事は、結果を出した事に理由付けしているというのが半分ぐらいだと思う。アスリートもまずその体に生まれるかどうかが99%。そして選ばれた人たちが努力を語る。やればできると成功者は言うけれど、できる体に生まれる事が大前提。』
URL: https://twitter.com/daijapan/status/392419979707969536
読み比べてみると、やや違うニュアンスに感じるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?最初の内容のように読めなくもないですが、本人のツイートを見ると、少なくとも才能ない奴とも言っていませんし、努力しても成功しないとも言っていません。本質がどこにあるのかを正確に考えなくてはいけない気になります。
最初の内容だけを読むと反射的に反発したくなるのもうなずけますが、下の内容を読むと少なくとも自分の頭で思考する回路が動き始めるのではないかと思います。
一次情報か二次情報かを意識しよう
書籍もそうですが、特にネット上の情報は2次情報であふれかえっています。もともとは1人の発信が、多くの人を介して伝わることで少しずつ形を変えて伝わっていきます。大量に拡散することで、中には最初の情報とは著しく異なる形になってしまっているものも混じってきます。
文章を読んでいるときには、情報が一次情報なのか2次情報なのかを意識しながら読んでみると間違った思い込みや理解が減ると思います。
二次情報だと思った場合には、その出元になるべく接するようにしてみてください。2次情報が間違っていたということもよくあります。正しい情報をつかむためにも、一次情報に触れることは必須です。そして一次情報をすべて得たうえで再度文章を読むと、新たな側面が見えてくるでしょう。