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本当は若者が一番読書をしている?活字離れの実態

 

小学生、中学生、高校生の読書率は上がっている


近年は若者が本を読まないという活字離れに関する記事をよく目にするようになりました。
果たしてそれは本当でしょうか?


下記のページにあるグラフを見てみてください。
このグラフは、全国学校図書館協議会と毎日新聞社とが共同で、全国の小・中・高等学校の児童生徒の読書状況について調べたものです。
http://www.j-sla.or.jp/material/research/54-1.html


これを見ると、2000年代に入ってから、小学生、中学生の読書量が増えていることがわかります。高校生も若干伸びているようにも見えるのですが、大きな変化はなさそうです。また、1か月間に読んだ本が0冊の「不読者」の数を見ても、小学生、中学生、高校生のすべてにおいて2000年代に入ってから減少傾向にあるように見えます。


このデータから考えられることは、一般的な活字離れが必ずしも起こっているとは言い切れないことかなと思います。確かに、高校生では読む本の冊数も少ないですし、不読者数も高い数値を示していますが、全体的には本を読む児童・生徒の割合は増加傾向にあるように思えます。


他の調査結果を見ても、いわゆる若者(10代、20代)の読書量が少ないという結論を導くのはいかがなものかな?というデータが見受けられます。


例:■全国農村読書調査(1946年から実施)
http://www.ienohikari.net/bunka/research.html


このデータでは、総合読書率(月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる割合)は、20 代が最も高く74%、以下30 代が70%、50 代が69%、40 代が67%の順となっていて、70 代が最も低く43%となっています。書籍読書率についても10代が一番高く、年代が上がるにつれて下がる傾向が見られます。


これらのデータを見ると、若者だけが悪者扱いされるのはいかがなものかと思ってしまいます。


教育現場の指導が読書率の向上に貢献?


話が少し戻りますが、なぜ2000年代に入って小学生・中学生の読書量が増え、1か月間に読んだ本が0冊の「不読者」の数が減っているのでしょうか?


いろいろ理由があるとは思うのですが、1つには教育現場における読書指導の強化が考えられそうです。


現在、小学校・中学校・高等学校では司書教諭の配置が義務化されているそうです。
司書教諭は、学校の図書館で専門的資料に関連する職務に従事する教員で、図書の収集・整理・管理などの専門業務を行うとともに、子供たちに本への興味をわかせる取り組みなどを行います。


この司書教諭の義務化は、1997年の6月11日に法改正されたことにより始まります。
この年までは司書教諭を置かなくてもよかったのですが、その猶予期間が2003年3月31日までとなり、2003年の4月からは必ず配置しなければならなくなったようです。つまり、2003年度からは各学校に司書教諭が確実に配置されていると考えられます。


また、学校のカリキュラムが「調べ学習」など学校図書館メディアを利用した授業方針にかわって来ているのも影響しているかもしれません。調べ学習とは、児童が知りたいことや興味を持っていることについて、図書や実地見学、実験・観察など様々な方法でまとめ・発表することを目標にした学習です。


このためには、本好きな子を育てる読書指導も必要ですし、図書館を利用した学び方・調べ方を教える必要もありますよね。授業で図書館の本などを利用するにしても、その使い方の指導や学校図書館のメディアの収集等をする人がいなければうまく授業を進められないことを考えると、司書教諭が活躍しているのかもしれません。もちろん、実際の授業を担当する担任の先生も重要な役割を果たしていると思われます。このような教育現場全体的な取り組みが、児童の読書率の向上につながっているように思われます。


これらの結果は、読書をすることを教えるなどの教育環境の改善が読書量の増加につながっていることを示しているように思えます。


最初のグラフにある通り、中学生・高校生の読書率も増加しているのですが、小学生に比べると低いものになっています。部活動や受験などで読書をする時間が減っているのかなと推測していますが、願わくは、中学、高校と学年が進むにつれても読書率がもっと高くなるように何か対策ができればなと思います。







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